とりあえず問題設定は
・マリガン無視
・山20枚、手札20枚
・手札に2枚バルがある
で3枚目は手札にあるか?を考えます。
めんどくさいので状態を(手札のバルの枚数;山札のバルの枚数)と書いて省略します。
(3;0)が手札に3枚バルがある状態で、(2;1)が手札に2枚、山札に1枚の時です。
起きる確率はP(3;0)という風に表すことにしときます。
この問題で求めるべき確率は
(3;0)か(2;1)が起きている(=手札に2枚はある)前提条件の時、(3;0)(=手札に3枚)が起きる確率です。
この確率は条件確率というやつであり、今回は手札に2枚はないと3枚には絶対ならないので
P(3;0)/(P(3;0)+P(2;1))
という式で求めることができます。
実直にパターン数を計算すると、これは
20・19・18/(20・19・18+20・19・20・3)=3/13
です。20・19・18が(3;0)の時の「バルAバルBバルCがそれぞれ手札の20枚中何枚目にあったか」のパターン数であり、20・19・20・3が(2;1)の時の「バルAバルBが手札20枚中何枚目にあったか・バルCが山札20枚中何枚目にあったか・バルCじゃなくてAやBが山札にあってもいいので3倍」のパターン数ですね。
ここの説明はこのくらいに留めます。ただ地味に計算が必要でほんとに3倍するのかもちょっと怖いですね。
というわけでここから確率がパッとやんわりわかり、他の状況にも多少応用しやすい話をします。
ということでこの記事特有のオリチャーを発動します。
最終的に「(2;1)の確率って(3;0)の3倍くらいあるんじゃね?
なぜなら(3;0)の手札のバル3枚のどれかを山札に渡すと(2;1)になって、(2;1)の山札のバル1枚を手札に渡すと(3;0)になるから」
って思ってもらいたいです。
なんかそれっぽいけどめっちゃ怪しいなって感じがします。ので実際正しい確率をこんな感じで求めます。
とりあえず手札と山札を重ねて40枚にします。40枚って言ったら1〜20枚目は手札で21枚目〜40枚目が山札の束と思ってください。
このとき40枚の40!パターンは等確率です。あたりまえ体操。
次に40枚のうちの適当な2枚を入れ替えます。こうしても全パターンで等確率ですね?シャッフルした後の山のカード2枚を入れ替えて確率が変わるならそれはイカサマされているでしょう。
この操作をちゃんと考えてみます。元の40枚が(3;0)だった時、入れ替えで(2;1)になるパターンは
(バル3枚のどれかを選ぶ)・(山札の20枚のどれかを選ぶ)=3・20=60
次に元が(2;1)だった時、入れ替えで(3;0)になるパターンは
(非バル18枚のどれかを選ぶ)・(山札のバル1枚を選ぶ)=18・1=18
と計算されます。
ここで凄いことに、この入れ替えによって
40枚のパターンは変わらず等確率であり、(3;0)は(2;1)にしかならないため
元のパターン数込みで
(3;0)→(2;1)になるパターン数と(2;1)→(3;0)になるパターンの数は等しいことが言えます。
なぜなら、もし(3:0)→(2;1)のパターンの方が多いなら、入れ替え操作後に(2;1)の確率の方が多くなってしまいますが、これは元の40!パターンの確率は2枚入れ替えようが変わらないことに反しているからです! やったね!
というわけで (シャッフルして(3;0)になるパターン数)・60=(シャッフルして(2;1)になるパターン数)・18 となるため
((3;0)になるパターン数):((2;1)になるパターン数)=3:10
という比例関係がわかりました!すごい!よってバル2枚引いていて3枚目引く確率は3/(3+10)=3/13です!
計算をまとめると
18・1/(18・1+3・20)=3/13 はやい
ここで「まあ山札と手札大体一緒やし」と思うことで「(3;0)のパターンが1/3やから大体25%やなw」とでき、試合中に2秒で確率を概算できます。やったね!
※補足 これが成立するのは(3;0)が入れ替えで必ず(3;0)か(2;1)になるからです。例えば状態ABCでA→B B→C C→Aに必ずなるような遷移だとこの議論だと死にます。
ここまでの計算に既視感を覚えた人もいるかもしれません。そうこれ、化学平衡と同じなんですね。
A→Bとかいう反応を考えると、平衡状態ではA→BとB→Aという反応の速度が釣り合っています。
同じ量あったときA→BがB→Aの10倍の速さで起きる、つまり10倍起こりやすいなら最終的に平衡状態ではBがAの10倍できます。Aは元の1/11しか残りません。
これと同様に(3:0)→(2;1)が(2;1)→(3;0)の3倍速いので(3;0)は1/4なわけです。
高校化学はシャドバをやるために存在したんですね。平衡と考えてやると少し直感的かも。
今回の繋げ方はオリジナルなんで割と違いますが、特定の理系大学生になるとこういうタイプのつながりで熱力学のエントロピーと情報量のエントロピーがつながって脳が破壊されます。
ちなみに、こういう各状態の確率に係数をかけると次の状態の確率が出せるみたいなのをマルコフ過程とか言います。係数の塊を確率遷移行列とか言って、今回の問題は固有値問題とも言えますね。そうだよね?
閑話休題。まあこの計算だと普通に計算してもいいんじゃね?と思われる方がいらっしゃると思うので別の問題例も考えましょう。
手札が10枚の時、この時、「大体更に3倍(3;0)→(2;1)しやすいよなぁ」により大体1:9で1/10です。
ちゃんとやると8/98=4/49ですね。手札か山札が少ないと無視している(手札の数)と(手札の非バルの数)の非が1じゃなくなってくるんで手札5枚とかなら3/5とかの補正を入れてあげましょ。
手札20枚で1枚見えてる時、1枚か2枚か3枚か問題については(1;2)(2;1)(3;0)のパターン数比であり(1;2)(2;1)のパターン数比なんて1:1に決まっているので3:3:1、よって1枚見えてる時2枚目がある確率は6/7です。
この問題は山札枚数を弄っても結構簡単に考えることができます。手札が30枚あるとすると(2;1)(3;0)のパターン数比は当然3・1:1・3=1:1であり、(1;2)(2;1)の比も1:3になります。
つまり(1;2)(2;1)(3;0)のパターン数比は3・1:3・3:1・9=3:9:9=1:3:3と山札半分のパターンに1,3,9の補正をかけるだけで簡単に計算することができます。3秒ですね。
Q:リュミ1枚見えたけど山残り10枚に残り2枚全部埋まっててくんねえかな〜。A:1/7くらいだから祈れ。
元記事にもあった問題を計算できるか試しましょ。
「k枚引いた時点でバル2枚手札にあった時、n枚引いた時点で3枚目あるんか?」
簡単にするためにl=n-k,m=40-nとしましょう。k,l,mで合わせて40枚であり、k枚区間に2枚、l枚区間に1枚、m枚区間に0枚バルがあることを(2;1;0)と表しましょう。この時の確率は
(P(3;0;0)+P(2;1;0))/(P(3;0;0)+P(2;1;0)+P(2;0;1))
になって、......。ループあるな。
補足に書いたようにこのままではあかんのでループだろうがセーフって話をします。簡単です。40枚の順列40!個についてパターンAから入れ替えでパターンBになる確率とパターンBからAになる確率が等しいからです。だからそれらの和である(3;0;0)→(2;1;0)と(2;1;0)→(3;0;0)は等しいです。そらそうやわ。
危うく4×4の確率遷移行列殴りかけた
よって比が
P(3;0;0):P(2;1;0):P(2;0;1)=k-2:3l:3m
です。
(P(3;0;0)+P(2;1;0))/(P(3;0;0)+P(2;1;0)+P(2;0;1))=k-2+3l/k-2+3l+3m=3n-2k-2/2(-k+59)
元記事と一致してくれました。
この問題に関してはこの描像だと直感的にセーフだか微妙なので、初めのやり方に戻って、k区間にバル2枚を置いて、(残りのバル1枚を38枚のどこに入れるか×そのバルを残り2バルと交換できるかの補正)を考えた方が良いかもしれません。補正を入れていいのか若干迷うかもしれませんが。