・リスクorリターン、いつ打つ?「妖精の調べ」
・負け筋を減らすパーフェクトプレイ「黙示録」
Shadowverse初の世界大会となった今大会、ルックス・実力の両方を兼ね備えた二人のマッチアップが実現した。
WGPは3デッキを持ち込むBO5という形式で行われるが、二人の持ち込んだデッキはKou-cha/PaR(以降、
紅茶)が遅めのデッキ3つに対して、fegは比較的早めのデッキ3つと対照的だった。
・紅茶の持ち込み
ランプドラゴン白狼エルフコントロールヴァンプ
・fegの持ち込み
アグロエルフ秘術ウィッチ復讐ヴァンプ
今回はその中でも印象的だった第1戦コントロールヴァンプvsアグロエルフの対戦を紹介する。
アグロエルフを握るfegが先攻、紅茶が後攻でゲームは始まった。
fegはマリガンで1コスト3枚をキープし序盤から攻めていく姿勢を見せる。
最初の分岐が訪れたのは先攻2t目、ゴブリンを出すことは確定しており残り1PPで
ベビーエルフ・メイ・
フェアリーサークルのどちらをプレイするのか(あるいはどちらもプレイしない)という状況で、fegはフェアリーサークルをプレイする選択を取った。
紅茶のデッキには2コストのフォロワーが一切入っておらずメイのファンファーレの価値が低いことや、手札にある妖精の調べを強く使いたいことから、フェアリーサークルを開いたのは検討の余地あり。
先攻3t目、トップで2枚目の
妖精の調べを引き、1コストを2枚残せば次のターン確実に2プレイで全体バフとして使用できるが、その場合フォロワーが2体しか並ばないためfegは1コストを3枚プレイし次のトップに期待する。
※4tのトップで2プレイ後に妖精の調べをプレイできる確率は以下の通り。()内はデッキにある枚数。
・紅茶が純心をプレイしない場合 約12%
受け→
自然の導き(1), フェアリーサークル(2),
ティートル・ディ&ダム(1)
・紅茶が純心をプレイした場合 約32%
受け→ゴブリン(2),
ウォーターフェアリー(2),
対空射撃(3), 自然の導き(1), フェアリーサークル(2), ティートル・ディ&ダム(1)
.
確率自体は高くないが成功した際のリターンがかなり大きく、
エンシェントエルフをトップしても強い点や、
群れなす飢餓を誘って後続の妖精の調べを通しやすくする点などメリットも多くあった。
後攻3t、紅茶が純心の歌い手をプレイし確率が高まるもののfegの4tのトップは3枚目の妖精の調べ。fegにとって苦しい4t目となった。
紅茶の後攻4t目、盤面で優位に立つため
裁きの悪魔をプレイしfegのメイとフェアリーを除去する。
一見普通のプレイに見えるこのターンだが、紅茶はターンが渡ってから裁きの悪魔をプレイするために約20秒を使い、裁きの悪魔を進化してからウォーターフェアリーorフェアリーのどちらを処理するか、約25秒悩んだ。
もちろん自分の思考をまとめる時間でもあっただろうが、この時間を使ったことでfegに群れなす飢餓を意識させ、非常に上手い時間の使い方を見せた。
その後もfegが攻め、紅茶が逃げる展開が続く・・・
緋色の剣士だと2/2のフェアリーが残り、公開情報+リノセウスで負けるためディアボリックドレイン+鮮血の口付け+純心進化で処理。
次のターンの手札からの最大打点が進化込み11点(1コス3枚+リノセウス2枚または自然の導き+リノセウス3枚)のため、緋色の剣士で2点回復しつつフェアリー2枚を処理、ウォーターフェアリーを放置し純心で体力を詰める。
バウンス+リノセウス複数枚はケアしきれないため割り切り、盤面の1/1を残すとフェアリーサークル+自然の導き+リノセウスで負けるため手札の緋色の剣士+ディアボリックドレインで進化も使っての全処理&最大回復。
これでfeg目線は攻撃力4のどちらかを処理しなければデモンオフィサー・エメラダで逆リーサルが取られる。
fegにターンが渡りトップが
死の舞踏、緋色の剣士を処理し次のターンに望みを託す。
紅茶の後攻8t目、このターン中にリーサルがないことは前のターンから分かっているため、緋色の剣士か
黒死の仮面を引いて次のターンを貰いたい局面だった。
トップで引いた純心をプレイするも上記のカードは引けず、顔を殴ってfegの体力残り5点。もうできることはなくそのままターンエンドかと思われたその時・・・
なんと紅茶は黙示録をプレイし自身の盤面を全破壊。
これによってfegが次のターンのトップで
対空射撃を引いても勝てないようになり、ターンが渡る。
自然の導きかエンシェントエルフを引けばリーサルだったが引けず・・・・・・最後は紅茶がセクシーヴァンパイアで勝負を決めた。
今でこそ
あいつや
こいつのおかげで自ら盤面を破壊するケアが浸透しているが、当時は対空ケアくらいであり、ましてや黙示録での対空ケアなど練習でやったことのあるプレイヤーはいなかっただろう。
確かにfegのデッキには次のターンの
セクシーヴァンパイアの5点を防ぐ手段がないため、次のターン負けなければ勝ちという状況なのだが、あの場面・あの舞台で黙示録を打つ発想に大きな衝撃を受けた試合だった。
この試合で勢いにのった紅茶はそのままfegを破り、準決勝・決勝へとコマを進め、初代世界王者に輝いた。