他のカードゲームにおいては、完全上位互換が存在し得ないものもある。ゲームによって色々な要因があるが、最も大きいのが
「相手のカードを利用するカードの存在」と
「カード名を参照するカードの存在」である。遊戯王で言えばエクスチェンジや闇の指名者
*1、
Magic: the Gatheringでは精神隷属器や翻弄する魔道士
*2等がそれに当たる。
聡明なホモ諸君は気づいていただろう。シャドバにも相手のカードを使用するカードがあることを。そう、
マインドルーラー・モートンと
糸による支配の存在から、コストが2以下のフォロワーは上記の条件を満たしても完全上位互換にならないのだ!!
ただし、これらの対象にならない選択不可があればその限りではない。また、これらは直接場に出るのでアクセラレートも関係ない…と見せかけて、
眠りの魔術や
ローズガーデンキーパー等で手札に戻る可能性があるのでウィッチやエルフは関係ある…とも見せかけて、
タルトマンがいるので全クラス関係がある(そもそも2コスフォロワーにアクセラレートが付くことがあるのかは疑問だが)。
また、
簒奪の絶傑・オクトリスの存在から、
ラストワードが異なる場合も完全上位互換にはならない(もちろん、こちらもオクトリスの対象にならないなら問題ない)。
例として「
災厄の屍王」と、進化前でも攻撃が可能な「
災厄の屍王B」を考える。もしもこの2体のほかの能力が同じ「進化前:自分のターン開始時、ネクロマンス 4; このフォロワーは進化する。」、「進化後:ラストワード 災厄の屍王(進化前)1体を出す。」だとしよう。この場合、進化した自分の「災厄の屍王」、あるいは「
災厄の屍王B」が相手のオクトリスにラストワードを取られても、その被害は等しい。なので、攻撃不能を持っていない「
災厄の屍王B」は「災厄の屍王」の完全上位互換と考えられる。
しかし、「
災厄の屍王B」の能力が、「進化前:自分のターン開始時、ネクロマンス 4; このフォロワーは進化する。」、「進化後:ラストワード
災厄の屍王B(進化前)1体を出す。」だとする。そうすると、進化した「災厄の屍王」のラストワードを取られるよりも、進化した「
災厄の屍王B」のラストワードを取られたほうが被害が大きくなる。よって、「
災厄の屍王B」と「災厄の屍王」の間に完全上位互換、完全下位互換の関係は成り立たなくなる。さて、「災厄の屍王」と何回言ったでしょうか?
聡明なホモ諸君は気づただろうか?もう一つの落とし穴の存在を。
そう、僅かだが、カード名参照もある。わかりやすいのは
森の音楽隊を擁するエルフだろう。さらに、森の音楽隊はエルフ・フォロワーに限定していないため、ニュートラルも巻き込む。
例として、カードAはカードBの完全上位互換である、と仮定しよう。自分の場に「森の音楽隊、カードA、フェアリー、ゴブリン」がある状況を考える。この時、カードAを出しても森の音楽隊は発動しない。しかし、カードBを出した場合は森の音楽隊が発動する。この場合、カードBはカードAよりも優れていると言える。これは
「どのような条件下であっても、カードBよりもカードAの方が優れている」に矛盾するため、仮定は成り立たない。よってカードAはカードBの完全上位互換とは言えない。よって、
「エルフ、ニュートラルのフォロワーは、完全上位互換が存在し得ない」ことになる。
また、
群れなす飢餓を撃たれたときの被害の違いから、比較するフォロワー両方が選択されない、もしくはスペルダメージ無効を持っていないといけない。
他にもカード名参照はある。具体的には、2コスト以下に影響する
騎士王・アーサーや
安息の顕現、クラスフォロワー全般に影響する
冒涜の球体や、
ソウルストリーム。そして、今まであえて触れなかった
唯我の絶傑・マゼルベインと
天界の門だ。
これらの存在により、同名カードを入れないことがメリットになり得る。マゼルベインと天界の門はニュートラルのカードなので、すべてのクラスが完全上位互換が成立しなくなる…かどうか、意見が分かれるところ。前回(2020/1/17)までは、ニュートラルのカード以外を理屈こねて「完全上位互換の否定材料」としていた。ツッコミが入るだろうし誰か修正するだろうとマゼルベインと天界の門に触れないまま放っておいたが、今回で白黒灰付けようと思う。以下に前回までの理屈を記す。
(森の音楽隊の説明をした後で冒涜の球体とソウルストリームについて)ネクロマンサーとネメシスも似たように考える。「自分のデッキのクラスフォロワーが残り2体しかいない」状況の時、それがカードAが2枚の時は1枚しか場に出ない。しかし、カードAが1枚、カードBが1枚であったなら、2枚場に出ることができる。この場合、カードA1枚よりもカードB1枚の方が優れていると言える。よってカードAはカードBの完全上位互換とは言えない
この理論は他のカード(アーサーとかマゼルベインとか)でも当てはまる。これはある意味では正しく、ある意味では正しくない。上手く説明しにくいが、「カードBの方が優れている状況が存在するのではなく、カードAを複数枚入れると優れない状況になるので仕方なくBを入れる」といった感じ?「同名カードは3枚しか入れられないから、仕方なしに4枚目としてカードBを入れる」も近いかも。他に例えるなら、「デッキ内の39枚は決まっていて、残りの1枚をAかBにするのだが、あらゆる状況(上に述べているようなまずありえないようなのも含む)でAがBに勝る場合」とか。もっと上手く説明できるニキいたらお願い(他力本願)。
これを今回の完全上位互換の定義である「
どのような条件下」に含めるかどうかが人によって違うだろう。「どのようなって言っているんだから含めるに決まっているだろ!いい加減にしろ!」といった意見は間違ってないし、「カード1枚としてみたら完全上位互換だし、2枚目以降が完全上位互換じゃなくなるっているのはちょっと違うんじゃね?最低でも1枚なら完全上位互換だし」といった意見も間違いではない。ただ、この理論だと森の音楽隊や群れなす飢餓も同じ理論になる(盤面を見るかデッキを見るかの違い)。どちらでも構わないのだが、ここまで長々と説明したあとで「マゼルベインがあるので完全上位互換は存在しませんよ」だけで済むとなったら悲しいので、今回はこの落とし穴(カード名参照)は飛び越えることにしよう。つまり、「どのような条件下」に以下の条件を付け加える。
- あくまでもそれら1枚目のみで比較する。例えカードAの2枚目より、カードBの1枚目が優れている状況が存在していても、カードAの1枚目がカードBの1枚目の完全上位互換ならば、カードAはカードBの完全上位互換とする。
…まぁ、(この議論に)意味なんて無かったろ?
――時は2020年6月。これらの議論を文字通り
ひっくり返すカードが実装された。
その名は
《吊るされた男》・ローフラッド。彼がエンハンス7で加えるトークン、真偽の逆転の効果は、前代未聞の相手のカードで戦うというものだった。
そう。上で記されていた
「相手のカードを利用するカード」である。
これにより、Shadowverseにおいても完全互換が存在しえなくなってしまった。
……まぁレアケとして無視するのも手ではあるが。
(追記)
スパルタクスなどが持つ
「自分のデッキの下にある死神のカードを勝利のカードに変身させる。 」という能力が完全上位互換の鍵になる可能性がある。ローフラッドの真偽の逆転
自身が同様の効果を持つため、その能力を持ったカードを
ローフラッドで利用されたとしても相手にアドバンテージを与える事にはならないのだ。
マンガの強敵の攻略法みたいでかっこいい…かっこよくない?
探せばまだ落とし穴があるかも知れない。見落としているところもあるかも知れない。気づいたら教えてくれるか直してくれるとありがたい。ちなみに私は指摘された部分も含めて11回は落ちた。
いろいろ述べてきたが、カードの追加によってこれらの条件は簡単に変わるのだ。森羅咆哮の
アディショナルカード、
極光の天使の存在により突進が疾走の完全下位互換ではなくなったように。結局のところ、抜け道を全て塞いでしまえば、完全上位互換はいくらでも作れるのだ。