おんJシャドバ部 - ピン差し

概要

ピン差し(表記揺れでピン挿し、ピン刺しとも言う)とは、カードゲーム用語で「デッキにあえて1枚だけ採用するカード」の事を指す。
規制等で最大1枚しか積めなかったり、ハイランダーデッキのように1枚制限でデッキが構成される場合はピン差しと呼ばれない。
ここからはシャドバを基準に解説するが、通常シャドバの構築戦では同名カードを3枚まで採用することが出来る。そのためキーカードや各コスト帯の高性能なカードは原則3枚積みされる。大抵のデッキの大部分は3積みカードで構成されているだろう。
そんな中で色んな理由によって「あえて1枚だけ採用されるカード」をピン差しと呼ぶ。

戦略としてのピン差し

ピン差しで採用されるカードをドローできる確率は、単純に考えて3枚積みのカードの1/3と低くなるので、基本的には補助的な役割を果たすために採用される。逆に言えば「引けても引けなくても良いカード」が多いので構築においてはしばしばノイズとも捉えられ、「そんなカードピン差しするくらいなら○○3積みしろ」など警察が沸くこともある。
確かにむやみやたらなピン差しはデッキの動きを弱くする原因になりかねないのだが、上手く使えばデッキに柔軟性を与えてくれるメリットがある。またガチガチなテンプレ構築にも若干の自由枠はあるので、そこでピン差しされるカードで個性が出たりもする。

下記のようにピン差しに適したカード・デッキもある。例を挙げて解説していきたい。

ピン差しされるカード例

なお、これらの要素が複合してることも多い。また、同じカードでもデッキが違えば3積みされるようなカードも多い。
  • 特定の状況で効果的なカード
普段はやや弱めだが、特定の状況で大きなアドを取る、あるいは仮想敵デッキの戦術を崩すことができるいわゆるメタカードの類が多い。
進化時効果持ちなど発動タイミングが限られるものもある。環境を見て採用していこう。
例:アミュレット対策を意図した熾天使の剣、ゾーイ対策を意図した変異の雷撃など

  • 高コストのカード
単純に高コストのカードはプレイ可能になるまでにドロー機会が多いため、枚数を減らしても手札に引き込める確率が高い。また手札事故の防止にもなる。
特に単体で勝ち筋になり得る強力なカードがサブプランとしてピン差しされるケースや、止めの一撃用に一枚で相手のライフを大きく減らせるカードが使われやすい。
例:単体で勝ち筋になる例ではヘヴンリーイージスサタンなど、止めの一撃用では乗り物ドラゴンにおける古今独歩の大拳豪・ガンダゴウザなど

  • 複数枚積みの意味が薄いカード
他に確定サーチ・リクルート手段を用意していたり、重複しないリーダー付与効果を持っていたり、直接召喚で確実に場に出せるものが当てはまる。
例:白翼の守護神・アイテールから確定リクルートできるようにしたヘヴンリーイージス。エイラビショップなどにおける七宝石の姫・レ・フィーエ神の盾・ブローディア直接召喚で出てくるが複数枚は使わない天界の門頂きの闘技場など。

サブプラン用のカード
メインの勝ち筋がある上で、別途のフィニッシュ手段になるカード。メインの勝ち筋が止められた状況や打ち止めになった際の保険や、メイン勝ち筋を引き込めなかった時の4枚目代わりとなる。
例:シオンを主軸にしているAFネメシスのサブプラン用冥府への道、アリアセッカエルフのサブプラン用ブリリアントフェアリーなど。
  • 手札に来てほしくないカード
リクルート前提のカードや直接召喚を持つカードは手札に来た場合相対的に物足りない性能となってしまうものが多いので、手札に来ないように1枚しか積まない戦略がある。ただし、手札から使っても強いカード、複数回の直接召喚を行いたいカード、手札でダブつく可能性を押してでも直接召喚がしたいカードなどはその限りではない。
例 :白翼の守護神・アイテールから確定リクルートできるようにしたヘヴンリーイージス開闢の予言者など
  • 「4枚目以降」の役割を持つカード
どうしてもプレイしたいキーカードに類似した効果を持つカードや、キーカードを確定サーチするためのサーチャーが当てはまる。この場合、多少下位互換気味でも使われることがある。
例:黄金都市の4枚目としての祈りの燭台清浄の領域を確定サーチできるように構築した際の、四枚目の清浄としてのピラータートルなど。
  • 無限リソース
「複数枚積みの意味が薄いカード」とやや被るが、何度も使い回せるので1枚あれば十分というカード。
例:月と太陽連鎖する雷など
  • 確定サーチのためにあえて枚数を絞る
ミニゴブリンメイジから万華の鳳凰をサーチし、その進化時効果の庭園と深海の接近でコスト半減&疾走付与した深海の覇王・ダゴンを最短5ターン目に叩きこむいわゆる庭園ダゴンデッキの場合、深海の接近から二枚目の万華の鳳凰を引かないよう、万華の鳳凰のピン差しが基本となっている。
  • サーチを無駄にしないためのカード
サーチやリクルート効果を持っているがそれ以外の要素を中心に使いたいカードに対し、サーチ効果を無駄にしないために一応入れておく対象カード。
例:終末の番人・スピネを採用している非AFデッキで、スピネのアーティファクトの自ターンのラストワードを無駄にしないため音速の機構・ララミアを入れる場合など。
  • 種類を増やすためのカード
対戦中にプレイや破壊されたカードの種類数を参照したり、名前の異なるカードを参照するカードを使う場合、似た効果や役割のカードを分散して入れることがある。その結果でピン差しになる場合がある。
例:ユニオン・マジックの種類数を満たすためにナイフトリックを一枚エンジェルスナイプにする、フリッグで出るアミュレットが増えやすいように、三枚入れたい風を呼ぶ翼人を一枚星界の艇人・ノアにするなど。
  • アイドル枠
どうしても使いたいお気に入りのカードがあるけど構築に入るパワーが無い…でもピン差しならデッキパワーをそれほど落とさず採用できるぞ!やったぜ。
ぶっちゃけただの贔屓枠
  • 相手に存在を意識させる
主にJCGやDSAL*1のようなデッキレシピ公開制の大会で使われる手法。
ランクマッチでは使われることが少ないが、使われるとそれが負け筋になる可能性があるといったカードの場合、そのカードが構築に入っているというだけで相手にその存在を意識させ、そのカードのケアを強要することで動きを縛ることができる。
例:《吊るされた男》・ローフラッドを入れておき、序盤の不用意な動きを制限させるなど

ピン差しに適したデッキ

総じて「ドローソースが多い・手札の回転率が高い」デッキはピン差しに適しているといえる。
必要な場面でピン差しのカードをプレイできる確率が高いので、デッキに柔軟性を与えてくれるだろう。
例:超越ウィッチ、冥府エルフ 

また、長期戦を行うことで自然とドロー回数が増えるデッキでも有効だろう。
例:コントロールデッキ全般

白翼の戦神・アイテール不朽の王城ソロモンの指輪ドラゴニックコールのような、使うタイミングや構築によって狭い範囲をサーチできるカードを採用している場合なら、相手に合わせた必要なカードをサーチしやすく、ピン差しを使いこなせるだろう。

逆にドローソースが少なく、単体のパワーカードで押し切る戦い方をするデッキには不向き。やるとしても「高コスト」や「4枚目以降」の条件を満たしたものに限られるか。


ピン差しは用法用量を守って効果的に!