パラノイアとは、
1.妄想性パーソナリティ障害の一種。被害妄想や、自分が特別な存在であるという誇大妄想などが現れるが、
統合失調症のような人格・職業能力への影響はないとされる。過去には独裁者の病気とも言われた。んやで。(Wikipediaより)
2.TRPG。親愛なる友人にして完璧なるコンピューター様に管理された地下都市「アルファ・コンプレックス」を舞台に、善良で完璧な市民として、都市を脅かす共産主義者(コミュニスト)の処刑などを主としたトラブルシューティングを遂行する、幸福で最高なゲーム。
折り畳み内のセキュリティクリアランス:UV
自分のことを完璧とか言っちゃうやつがまともな訳ないんだよなぁ。もともとアルファ・コンプレックスは旧ソ連との核戦争を想定した米国の核シェルターだったのだが、隕石衝突を核攻撃と誤認し、また他地域とのネットワークが途絶、シェルターの管理コンピューターが発狂してしまう。
「放射能汚染されてるから外出禁止。自分は完璧だし、完璧な自分が管理してる人間は全員幸福なはずなんだ。うまくいかないのは共産主義者の攻撃だ。幸福でない不完全な奴は反逆者の共産主義者だから殺さなきゃ」と思い込んでいる。つまりこいつがパラノイアなんやな。
完璧な管理のために市民は天上人のウルトラヴァイオレット(UV、白)、上から順にヴァイオレット〜レッドまで虹の七色、最下層で人間扱いされないインフラレッド(IR、黒)の9階級に分けられた徹底的な階級社会となっており、皆階級と同色の服を着用している。下の階級の者は上の階級に対し逆らうことは許されず、下の階級の市民が所有できるレーザー銃は上の階級の服を着ているものには一切通用しない。階級によって許可された道具、施設、情報などに差があり、上位階級のそれらを許可なく使用することは重大な反逆である。白が絶対の権力者で黒が奴隷って……おっと。
コンピューターは、完璧な管理を脅かす存在を共産主義の反逆者だと思い込んで恐れており、また市民たちも完璧で幸福だと信じ込んでいる。このため、何か上の意志に背くとか、周りのことに疑問を持つとか、何か失敗するとかすると反逆者扱いで処刑される。
しかしながら、閉鎖された地下都市でウン百年、満足な資源調達なくやってきている地下都市はあちこちボロや資源不足が出ており、それによる弊害も多数発生している。
プレイヤーたちは最下層より一個上のレッド階級の市民となり、コンピューター様による完璧な管理の手伝いをするため、チームを組んでトラブルシューティングの奉仕として、コンピューター様や上位階級市民からのミッションを行うのが基本のゲーム内容になる。
コンピューター様からの心象をよくするために、同じ任務に望む仲間は積極的に横にいる者の反逆の兆候を見つければ密告し、あるいはその場で処刑する。なお、恙なくミッションを遂行した場合、過度に協力しあうやつら=共産主義者だとして処刑対象になる。あいつスパイやでーって密告しあって粛清祭りな国っていうと、なあ。
幸福であることが義務付けられているため、不幸そうにしている奴はどうにか幸福にしてあげないといけない。具体的には頭があっぱらぱー幸福になるオクスリを処方するとか。もしくは不幸なやつは反逆者なので処すか。
ついでにミッション達成のため利用したい施設がとんでもないお役所仕事で延々部署をたらい回しにされるとか、支給された装備が運次第ですぐ使い手を巻き込んで小型核爆発を伴う暴発をする危険物だとか、ミッションに必要なはずの情報が上位階級にしか公開されておらずプレイヤーが知ることを許可されてないとか、とにかく障害だらけ。
ミッション自体も「どこそこにいる反逆者を処刑してこい」などと通達されるものの、「そんなターゲットがそもそも存在しないので達成不能→しかしコンピューター様や上位階級様が間違いを犯すはずがない→よってどうにかして、いない反逆者をでっち上げて処刑せねば自分たちが反逆者になる」みたいな理不尽もよくある話。
なおかつプレイヤーは、バレたら反逆者の仲間扱いの秘密結社に所属しており、秘密結社ごとのミッションを別途遂行しなくてはならず、またバレたら被差別民であるミュータントなのでそれをうまく隠し通さないといけない。
なお、ぽんぽこデストラップなり核暴発なり処刑なりされて死にまくる都合上、TRPGでは他に類を見ない残機制であり、プレイヤーが死亡すると即座に同じ記憶を引き継いだ、おでこに何人目か書かれている以外はそっくり同じクローンが送られてきて、ミッションを引き継ぐことになる。
以上のように実態は、共産主義を敵視し怯えるあまり同じようなことをやらかしてる理不尽なディストピアの中で、同じミッションに参加している仲間と表向き協力しつつ、出し抜き欺き密告・処刑してハメながら、紙より軽い命をどうにか消耗しないように保身するゲームである。頻繁に人の命を奪うレーザー銃の発射効果音「ZAPZAPZAP」はこのゲームの象徴であり、『気を抜くな!誰も信用するな!レーザーガンを手放すな!』という合言葉は、この世界を端的に表した名文である。
「市民、幸福は義務です。」というゲーム内の定型文がよく引用されるほか、人気ボカロ楽曲「こちら、幸福安心委員会です。」のモチーフになっているなど、皮肉にまみれた独特の世界観は様々な創作分野に影響していたりする。
3.音楽ゲームDanceDanceRevolutionに収録されている楽曲。初代DDRの最高難易度曲であり、その後のDDRシリーズで多数のアレンジ版・続編・リメイク楽曲がボス曲として発表されている。
4.DiGiTAL WiNGが手掛けた東方アレンジ楽曲。元曲はハルトマンの妖怪少女。こっちもよく音ゲーに収録されているので、音ゲーマーはしばしばどっちのパラノイアだよ!と言わされることになる。