セト(Set)はエジプト神話における戦争と嵐と暴力の神。
ここではジャッカルの姿をした神とされ、一般的に伝わっている神話でもジャッカルの見た目とされているが壁画ではツチブタの見た目をしていることから当時存在していた別の生き物または様々な動物を組み合わせた
合成獣ではないかと言われ、英語では「セト・アニマル」と呼ばれている。
兄弟に
オシリス、
イシス、
ネフティス、妻に
ネフティスがおり、ネフティスとの間に子供がいたかどうかは定かではない。
エジプト神話においてはその立場がぐるぐるしており、当初では隊商(キャラバン)の守護神やアポピスから
ラーを守る番人として崇められていたが、
オシリスやその息子であるホルスが信仰されるようになると彼らと取って代わるようになり、次第に国に害をなす悪の神として扱われるようになった。
その中でも特に有名なのがオシリス殺しのエピソードであり、オシリスの立場を奪おうとしたセトがオシリスをバラバラにして殺害したうえでその死体をばら撒いて捨ててしまう。
イシスはそのオシリスの死体を探しにエジプト中を探し回り、何とか死体を見つけるのだが、
ちんぽだけは魚に食われてしまっていたために見つけることができず、不完全な状態で復活したためにオシリスは冥界の神になったという。
その後、息子のホルスも殺そうと画策したセトはホルスと一騎打ちを行うのだが、返り討ちにあい
ちんぽ(と片足)を潰されてしまう。
この戦いにホルスが勝利したことで、以後のファラオはホルスの化身として扱われるようになった。
・・・かと思えばこのセトを信仰する「セティ1世」がファラオの座に就いたことで宗教上の復権を果たした。
戦争の神なので民間での人気はあまりなく王家の信仰する神に留まっているがそれでも上エジプトでは根強く信仰されていた。
ちなみに、声優・
津田健次郎の出世作である遊戯王DMの海馬社長こと海馬瀬人のモチーフになったのはこのセト神である。
エジプト神話ではセト神の好物はレタスであると伝えられている。
これは、セト神は性欲を司る神であり、古代エジプトではレタスの茎を切った際に出る白い液体が精液の元になると信じられており、媚薬や精力増強剤として栽培・食されていたことに由来する。
これに関連して「セト神はレタスしか食さない」や「レタスを栽培するための家庭菜園を持っていた」とも伝えられている。
ただし、壁画に描かれているデザインから一般的に食される玉レタスやリーフレタスではなく、ステムレタスという中国原産の茎の長いレタスだったのではないかとされている。
セト神のレタスにまつわる逸話では、セト神がホルス神との王権争いをしていたころの話がある。
セト神とホルス神が王権争いをしていた際、セト神はその王の座からホルス神を追い出そうと、何とホルス神にハニートラップを仕掛けて妊娠させようとした。お前は何を言っているんだ。
済んでのところでホルス神が気付いたためこの計画は失敗に終わったが、その翌朝はホルス神の母親であるイシス神はホルス神の精液を持ってセトの家庭菜園の管理者に「この畑の内セトは何を食べるのか?」と聞いたところ「セトはここの畑のものは食べずレタスばっか食べている」と答えた。
それを聞いたイシス神はセト神が食べるレタスにホルスの精液をかけて行った。それを知らずにセト神がそのレタスを食べた結果妊娠したという。
このことからセト神は
両性具有とされている。
さらなる余談
このことがきっかけで王座争いが不利に事が運んでしまったという。
その後行われた神々の法廷にて「男の役割を果たした」と主張するセト神に対してホルス神は「それは逆なので私の精液を呼んでください」と主張した。
セト神の精液は先のハニートラップの際に川に捨てられたために川底から返事をしたがホルス神の精液はセト神がレタスとともに食べたため、セト神の腹の中から返事をした。
これによりセト神がメスと判断され、セト神は神々からメチャクソに罵倒されたという。