選定の剣に選ばれ、王となったアーサー王はおよそ完璧な人であり、清廉さと冷徹さを併せ持つ完璧な王でもあった。しかし、その非人間的にも見える「王としての使命」にただ無心にて殉ずるアーサー王に対し、平たく言ってついていけない、と、そんな姿勢を見せるものが出てきた。
妻とか、円卓の騎士の1人とか……
そして姉でもある魔女モルガンの奸計もあり、また自らの腹心であったはずの円卓の騎士の1人の反乱もあり、なんやかんやでブリテンが滅んだ。
地獄のような死体が並ぶカムランの丘でアーサー王は「こんな結末は間違っている」との結論を下し、聖杯を求める英霊もどきと化した。
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「それを手にしたが最後、君は人間ではなくなるよ」
……実際のところ、ブリテンの滅びは運命づけられたというか、規定事項というか、そういった避けられぬ宿命的な物もあった。
それは選定の剣を抜く時、アルトリアにもある程度は分かっていたし、傍にいた魔術師からも忠告はされた。それでも構わない、せめてその滅びが緩やかなものにできれば、そうあればと王の使命を果たすことに全てを捧げたつもりだったのだが……