ミズチとスーロンは即座に意気投合。恋バナをしたり異世界の竜人について語り合ったりと、独尊龍と呼ばれるあのスーロンが
他人と相席して仲睦まじい様子を見せる姿は一般アメツチ民を驚愕
と百合の波動に包み込みさせた。
ミズチからはスー姉さんと呼ばれるほど慕われて大層嬉しそうな様子を見せるが、
*2独尊龍と呼ばれて恐れられていても、自分と対等に接してくれる龍人の存在は喜ばしく感じる様子。
それからしばらくして、ミズチが稀人であるイツルギを追い詰めているところに突如スーロンが乱入。
イツルギを水責めしていじめだすが、結果的にイツルギの逃亡を手助けすることになる。
蔵人と稀人のことを把握していながら、稀人を助けるスーロン。ミズチはそんなスーロンを稀人だと判断するが、当の本人はミズチが蔵人と分かっても普段通りの態度を崩さない。
そもそも、スーロンは記憶を取り戻すためではなく、記憶の欠片を砕くために旅籠煤を狩っていたが…?
記憶など、とうの昔に取り戻しておるわ。
過去などゴミじゃ……記憶の欠片は厄でしかない。
アメツチにやって来た当初のスーロンは記憶の欠片を探し求めており、とうとう過去の記憶を取り戻した。だが、その過去は悲惨なものだったため、『やはり過去の記憶など忘れておくべきだった』と考えを改める。
そうしてスーロンは忌々しい過去の記憶の欠片をすべて破壊し、アメツチで永久に堕落を貪ることを決めたのである。
が、当然記憶を取り戻した時点で罪人。蔵人はスーロンを排除しようとするが、スーロンは悉く返り討ちにしてしまう。
襲い掛かってくる蔵人をすべて倒していくうちに、残ったのはタケツミと災藤だけになってしまった。
あまりの強さに手を焼いた災藤は、スーロンと
『蔵人はスーロンに今後手を出さず、スーロンも何もされない限り大人しくする』という取り決めを結ぶことになった。
*3
スーロンが稀人にも蔵人にも不干渉の存在であると分かり、ミズチは記憶の欠片に関して多少の引っ掛かりを感じつつもその場は刃を収めることになる。
ひと悶着の後で食事をするミズチとスーロン。
そんな中、突如封巣殿から大量の旅籠煤を引き連れ、巨大な旅籠煤が襲来する。
デカい旅籠煤=大蜘蛛様であるとしか思えない状況のため、手を出すわけにもいかず必死に説得を試みるミズチ。
だがスーロンは相手がアメツチの神であろうと意に介さず、大蜘蛛へと攻撃を放つ。
それはミズチと同じ技である八潮の龍であった。
スーロンの一撃によって、大蜘蛛は膨大な記憶の欠片を吐き出し、撤退。
その瞬間、ミズチとスーロンを自分の記憶の欠片が零れ落ちた感覚が襲った。
2人は無数の欠片の中から自分のものを探すが、なんとスーロンとミズチの両方が同じ欠片を「これは自分の記憶だ」と確信。
お互い一歩も譲らずに欠片をめぐって争う中、とうとうミズチが強引に記憶を取り戻す。
眩い光に包まれた瞬間、2人が忘れていた過去の記憶が流れ込んできた。