2011年デビューの競走馬。主な勝ち鞍は2012年皐月賞・菊花賞・有馬記念、2013年・2014年宝塚記念、2015年天皇賞(春)など。G1で6勝を挙げた名馬である。
なおウマ娘にもなっている
メジロマックイーンは母の父にあたる。マックイーン同様の白い芦毛の馬体と、無尽蔵のスタミナを受け継いでおり、普通の馬では不可能な超ロングスパートでのまくりで相手を豪快に捩じ切る競馬を得意とした。
父は気性難で知られるステイゴールドであり、上述の母父メジロマックイーンとの掛け合わせはステマ配合と呼ばれ、名馬がたくさん産まれた有名な組み合わせである。
頑丈だが小柄で気性難なステイゴールドと、賢いが大柄で脚元が虚弱体質なマックイーンの血を混ぜて小柄で頑丈で賢くてついでに気性難じゃない馬を作ろうとした結果、
恵体で頑丈で賢い気性難の馬として誕生し
てしまったのがゴルシである。
新馬戦をコースレコードで圧勝。札幌2歳ステークスで重賞初勝利。ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(現在のホープフルステークス)で2着となった。
年明け後共同通信杯で勝利した後、トライアルレースを経ずに皐月賞へと直行した。
皐月賞では前日の雨とそれ以前のレースによって馬場が荒れに荒れてる状態の第4コーナーの内側を他の馬が避ける中、まさかのここを走り抜けて勝利を収めた。その様はワープしたように見えたことから、「ゴルシワープ」と呼ばれて今も語り継がれている。
続く日本ダービーでは5着に終わったものの、菊花賞では勝利。クラシック二冠を達成した。
菊花賞後は有馬記念に出走し、エイシンフラッシュやオーシャンブルー、ルーラーシップといった強豪を押し切って勝利。葦毛としてはオグリキャップ以来の有馬記念勝利となった。
天皇賞(春)ではジェンティルドンナに敗れて5着となったが、宝塚記念ではジェンティルドンナ・フェノーメノを押し切って勝利した。
天皇賞(秋)を回避して臨んだジャパンカップではジェンティルドンナに突き放され15着と大敗を喫し、続く有馬記念でもオルフェーヴルの3着に敗れた。
春のシーズンでは前年同様阪神大賞典からの天皇賞(春)のローテーションで臨み、3馬身差の圧勝だったが、続く天皇賞(春)ではフェノーメノの7着に敗れる。ここで歩様がおかしかったため検査されたが、骨に異常はなく、ただの肉離れであったことが判明したため、放牧に出され、リフレッシュした後宝塚記念に出走し、ここでも勝利。史上初の宝塚記念連覇を達成した。
秋のシーズンは凱旋門賞へと出走したが、やはり世界の壁は高く、14着と大敗だった。
しばらくフランスに滞在した後帰国して有馬記念に出走したが、ここでも前年同様3着という結果に終わった。
陣営は、宝塚記念3連覇を目標に掲げ、調整を行うこととなった。
前年と同様に春は阪神大賞典に出走し、危なげなく勝利。
3度目の挑戦となる天皇賞(春)ではゲート入りを拒むといった不穏な雰囲気を醸し出していたが、勝利をおさめ、GI6勝目を達成した。
そして、史上初の平地GIでの三連覇がかかった宝塚記念、もちろんファンの期待も高まり、ファン投票1位、1番人気で臨んだ。
そしてあの事件は起きた。
ゲート内で隣にいたトーホウジャッカルが騒いでいたため、落ち着きを失ってしまい、ゲート内で立ち上がってしまう。
一度は大人しくなったものの、ゲートが開く直前、再び立ち上がってしまい大きく出遅れ、15着と大敗を喫し、三連覇の夢も潰えた。
この時のことは、当時のスポーツ新聞の見出しから120億円事件と呼ばれている。
以降燃え尽きてしまったのか成績は伸び悩み、陣営はラストランを有馬記念に設定。
やる気がなければテコでも動かないが、やる気になれば無尽蔵のスタミナに物を言わせて勝利するという大味なレースが持ち味のゴールドシップのラストランは本気を出した末の8着という、誰もが納得せざるを得ない終わり方となった。
ちなみに、引退レースとなった有馬記念には北島三郎氏の所有する馬・キタサンブラックが出走しており、引退式まで時間が余ったため北島三郎氏が時間をつないだという逸話がある。
つまり、日本演歌界の重鎮・北島三郎氏をあろうことか
前座にしてしまったのである。
引退後は種牡馬入りし、代表的な産駒には2021年のオークス馬・ユーバーレーベンなどがいる。
種牡馬としての成績……というか受胎率
*1が高く、サラブレッドの平均的な受胎率が70%前後なところ、ゴルシの受胎率は99.1%と驚くべき数値を叩き出している。
ウマ娘でのハジケキャラは
ほぼ史実準拠であるが、関係者やファンからは「それでも現実のゴルシのほうがまだキャラが濃かった」とすら言わしめたとか。
ウマ娘化している競走馬はGoogle画像検索がウマ娘一色になることがほとんどだが、その気性や奇行も含め多くのファンに愛されていたゴールドシップは未だに競走馬の方が多くヒットし、「ゴールドシップ ウマ娘」と検索しないとウマ娘の方が中々ヒットしない。
無事之名馬
*2を地で行く馬であり、父ステイゴールド譲りの頑丈な体で故障知らずの競争生活であり、屈腱炎を発症しやすい馬の特徴を全て網羅にしているにも関わらず、生涯で一番大きかった怪我は3回目の阪神大賞典後に足をぶつけたことによる蹄球炎だが、それも春天までにキッチリ治している。
ゴルシがレースでやる気を出さないことがあったのは、無理をしたら危険なラインを自分で見極めて自己管理ができていたからではないかという話もあったりする。
上述の通り、賢い馬であったと言われており、厩務員を担当していた今浪厩務員は「気位の高い人間ぐらいに思っていないと駄目」と発言していた。
また、ファンサービス精神が旺盛なことでも知られており、カメラを向けられていると、ちゃんとそれを理解して顔芸を披露してくれたりするし、それが動画だとわかるや否や、軽く走り出し「これが欲しかったんだろ?」とでも言わんばかりに撮影者の欲しい画をくれたりする。
と、そんな感じで上記のようにネタが尽きない馬であり迷馬と思われがちだが、上記のようにG1を6勝を達成している紛れもない名馬である。