やっと──やっと、やっとやっと!
私を見てくれたね……お姉ちゃんっっっ!!!
才気学園編のラスボス
……と言っても、学園で起きた事件や陰謀は
あいつや
こいつや
そいつが原因。
カステルがしたことは、ヴァイスの助けを借りて
ネルヴァの力をその身に降ろしたこと。
かつて神樹が暴走したのは、巫女の才覚において遥かにベルディリアを上回るカステルを神樹が見初めてのことだった。
カステルの巫女の才は、異界の神であるネルヴァの力を降ろすことすら可能としたのだ。
また、姉を悪く言ったという理由で
故郷の森を両親ごと全滅させて場を離れた自分のエルフ・フォロワーを稼いでいたことが判明。
皮肉にもベルディリアがかつて褒めた薬草(毒草)の知識で、ベルディリアの故郷を滅ぼしたのだ。
ベルディリアはカステルの凶行を、ヴァイスにそそのかれてのものだと考えたが……
そんなことはなかった。
カステルは、自分の意志でネルヴァの力を受け入れていた。
それもこれも全ては
神のため。神樹でもネルヴァでもない。
どんな時でもカステルを
見守っていた存在、
ベルディリアという神のためだった。
カステルは手にした管理者の力を使い、ベルディリアに自分はこんなに強くなったよと力を見せつける。
だが喜びのまま力を振るうカステルに対し、ベルディリアは妹がこうも狂うまで気付かなかった自分の不甲斐なさに嘆くばかりだった。
管理者の力で姉を圧倒するカステルだったが、どんな時でも完璧な存在だったはずの姉が悔恨を滲ませる姿に戸惑いを見せる。
そして気付けなくてすまない、と謝罪するベルディリアに
「私の知ってるお姉ちゃんはそんなこと言わない!」とお手本のようなヤンデレっぷりを見せつけて激高。
更にベルディリアの援軍として駆け付けた
ライル、
アマリリスに
「お姉ちゃんを変にしたのはこの学園なんだね」とヤンデレムーブを重ねた。
3人がかりでも動きを止めるのがやっとな程カステルの力は圧倒的なものだったが、ベルディリアは生徒二人に励まされることで
神でも何でもない、一人の姉としての行動を取るという考えに行き着いた。
今まで頼っていた神樹の力を捨てるという選択、そうして空になった器で今度はカステルに宿るネルヴァの力を
半分だけ奪い、カステルの残り半分と相殺するという賭け。
ベルディリアの作戦は成功し、姉妹二人は神の力を失った。
神の力から解放され、ただの姉妹になった二人は今度こそ
ご飯を食べにいくというありふれた約束を果たすことができるようになったのだった。
騒動後はベルディリアの教室の生徒になり、ライルとアマリリスのクラスメイトに。
森を滅ぼした罪は森が法の及ばない地域であったから裁けなかったようだ。ネルヴァを降ろしたことに関してもそもそも別の大事件のただ中であり、更に神降ろしの直後に鎮圧されたことから罪には問われなかったのだろう。
そして、だからこそ犯した間違いは自分で正す他なく、そのためにベルディリアの下で学ぶという、その後が語られた。