225： ↓名無し：24/01/04(木) 20:23:02 ID:rv.uz.L7
「やっぱそうなんか」
思わず口にしてしまったが、どう考えても父の末期がん宣告時に発していい言葉ではなかったように思う。
元よりいつも咳き込んでいて具合が悪いことは分かっていたし、タバコも酒もやる人だったので、年齢を考えても不思議ではなかった。病院には行きたがっていなかったが、遅かれ早かれ行くことになるのだからと母親に半ば強制的に連れて行かれたようだ。
何か良くないことを言われる覚悟はできていたが、いざ宣告されてみるとあまりにも呆気なく、何か感情が湧いて出てくることもなかった。いやに落ち着いてますねと医師に悪態を突かれながらも、入院の手続きをした。

226： ↓名無し：24/01/04(木) 20:23:06 ID:rv.uz.L7
病室にはいくつかベッドがあるが、いまは眠っている父しかいなかった。ふと、普段父が病室で何をしているのかが気になった。思えば今まで何年も一緒に暮らしてたはずだが、父のプライベートについて殆ど知らなかったのだ。
父のスマホが目に留まった。パスワードロックをかけていないことぐらいは知っている。こういうのは良くないと思いつつも、最近見たアニメに影響されたのもあって父への好奇心が勝った。冗談半分で勧めたシャドウバースは、もうすぐサービス終了だというのにまだ入っていた。
意外にもTwitterのアプリもあった。あまりスマホを開かない人間だと思ってたがSNSもやるのか、と開いてみると意外なアカウントが目に飛び込んできた。念の為にプロフィール欄を開いて確信した。Twitter上でよく自分にいいねをつけている人だった。
父とはあまり口を聞いたことがなかったが、引きニートの自分に失望していたものだと思っていたが、本当はずっと気にかけてくれていたのだ。そう気付いた時には、涙が止まらなくなっていた。
「やっぱ、そうなんか」

228： ↓名無しさん▼副：24/01/04(木) 20:23:10 ID:Sw.qf.L40
>>226
!aku
★アク禁(副)：>>226

229： ↓名無し：24/01/04(木) 20:23:14 ID:kF.hk.L32主
>>226
!aku
★アク禁(副)：>>226