ー−本当は、あんなこと思ってもいなかった。デッキから抜いてもいいだなんて嘘っぱちだ。
あの後ワイと別れてからパインちゃんは一人自室にこもって泣いていた。その日はバケツをひっくり返したような大雨で、窓にも雨が打ち付けていた。
「本当はワイ君のデッキに入っていたかった!ずっと一緒に戦っていたかった!それなのに…」
パインちゃんはこの煩悶とした気分を落ち着かせる方法を模索するも思い浮かばず、自然と股間に手を伸ばしていた。快楽に溺れることによって今のこの気持ちを忘れようとしていたのかもしれない。パインちゃんのおまたは既に指を迎え入れる準備を完了しており、触れた瞬間彼女はその刺激に身を震わせた。一瞬、この濡れはただ単に興奮だけ故だろうか、それとも今の私と同じように股間も涙しているのではあるまいか、という考えが頭をよぎるも、すぐにそうした雑念を振り払い愛撫を開始した。
その間思い起こされるのは、やはりワイ君との思い出ばかりであった。初めて会ったときにワイ君から一目惚れの告白を受け同棲を開始したこと、オーブをプレゼントされ「光り方は大人しいけどそれもパインちゃんらしくて素敵だね」と笑いかけてくれたこと、初めてアンリミに連れて行ってくれた時に安息の領域の裏で一緒にAFを倒したこと…楽しかった事ばかりが脳裏をよぎる。しかし指をおまたにこすりつける度、ひとつ、またひとつとワイ君との思い出が消えていく。
「んっ…どうして…ふっ…こんな事になっちゃったんだろう…?」
自分でも理由は分かっていた。その能力によりただでさえ不利な狂乱が更にしんどくなってしまう事、これに尽きる。融合でユニオンマジックを加える効果であればまだ一緒に戦えたのだろうか?しかしそのような仮定の話をしても現実はどうしようもない。パインちゃんはそのまま絶頂に上り詰めようとしていた。
「嫌だ…あっ…ワイ君のこと…全部忘れ…ちゃう…う゛っ…嫌ぁ…んっんっんっんっ〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!!」
パインちゃんは体を弓なりにそらし、そのまま達した。ワイ君との思い出を全部忘れてしまったかに思えたパインちゃんであったが、今脳裏に浮かぶのは、ワイ君の満面の笑顔であった。やはり、パインちゃんにとって一番大切なのはワイ君であり、本能で忘れることを拒否したのである。
「そうだ…疲れて帰ってきたワイ君を迎えてあげられるのは私だけなんだ…!ワイ君の心のよりどころになれるのは私だけなんだ!」
環境が変わって狂乱がいなくなったらまたワイ君と肩を並べて戦おう。これが私の、汚れたなりの正義なんだ。パインちゃんの心にはもう一点の曇りもなかった。いつの間にか、雨は止んでいた。