プレリリースではかなり期待されていたものの、いざ始まってみればとても環境に付いていける速度はなかった。キャルによるリーサル補助がないのはもちろん、当時はライリー直接召喚までの安定性にすら問題があり、大抵の試合でリーサルは9t以降という有り様だった。コンセプト的にも似ていた「豪風のリノセウスエルフの下位互換」と揶揄されるのも致し方なしである。
この時期は自然ウィッチを触っていた人が少なくテンプレートと言えるデッキレシピがなかったため、ひと口に自然ウィッチと言っても様々なタイプがあった。とりあえずライリー直接召喚を目指して知恵の光など邪魔にならないカードを採用したスタンダードな型、真実の狂信者やカオスウィザードを採用したスペブ軸、手札に来たライリーを有効活用できる呪いの言霊・ジンジャーと、進化関連のシナジーを狙ってラブリー★モニカや至高神・ゼウスを採用した進化軸など。
色々と試されてはいたものの、アの追加カードも自然ウィッチに採用できるものではなく、結局環境で日の目を見ることはなかった。

飢餓の輝きのローテ落ちが少し痛いと思われていたが、両雄激突、ゲイル、キャルといった強力な追加カードを獲得。特にキャルの追加によって現実的かつ手軽に20点OTKをかませるようになり、現在まで続く自然ウィッチの主戦法ができあがった。
環境初期こそプレイング方針が単純でOTKのある自然ウィッチが大量発生したが、 環境が進むと上振れムーブが凶悪な式神ウィッチが増加。更にアマツエルフやリオードロイヤルといったガン不利なデッキも見られるようになり、自然ウィッチは自然と数を減らしていった。
しかし更に環境が回っていくと式神に強いコントロールエルフが出現。そしてコントロールエルフと妖怪ネクロに強い自然ウィッチも再び環境に顔を見せるようになり、Tier2くらいの位置に落ち着くことに。大会でも極光の天使など疾走メタを採用して結果を残す自然ウィッチがチラホラ見られた。
アディショナルでは1コス1ドローによる事故軽減とダメージカットがありがたい禁約の黒魔術師と、同じく事故軽減と有用な進化の使い道となる岸くんことプリンセスナイトを獲得。ア後には進化ロイヤルやキャルウィッチといった新しいデッキが現れたが、どちらにも自然ウィッチが比較的有利だったのも追い風。環境終盤まで一定の立ち位置を保てていた。

エイプリルフールまでは特に見ることはなかった。進化の使い先筆頭となるストームエレメンタラーを獲得。機械自然環境の集大成ということで自然カードも多数追加されたが、明確に自然ウィッチ強化と言えるのはストームくらいだった。
WUPはご存知の通りの鋼鉄と大地の神環境だが、自然ウィッチには機械カードを入れるスペースも無ければ神でライリーを引いてしまうのがデメリットになったりと神とはイマイチ噛み合わなかった。
とはいえデッキ単位の強化は大きくなかったものの、初期は環境にはかなり恵まれていた。トップメタの機械ヴァンプに比較的有利、機械自然ドラやコントロールエルフにも五分以上。神の圧力と狂信者のローテ落ちで環境に付いていけなくなった式神が減り、ヴァンプの除去と回復力でアマツも減少、リオードはローテ落ち…と自然ウィッチが苦手とする相手がことごとく脱落していった。このようにWUP初期は自然ウィッチの戦いやすい環境になっており、JCGでも自然ウィッチが多く結果を残している。
しかし環境が進むとバーンヴァンプ、機械ビショ、AFネメなどを見かけるように。どれも自然ウィッチが苦手なデッキタイプであり、これらのデッキが現れた頃から自然ウィッチの輝きに陰りが見え始める。
アディショナルで登場が予想されていた元素の大魔術師・アーレインは、ナテラの大樹をプレイできるカードでなかったため多くの自然ウィッチ使いの期待が裏切られることに。アーレインと同日に発表されたビショップの博愛の翼人を見て「自然ウィッチによこせ」などと叫ぶ声があったとかなかったとか。
そしてア後は環境に冥府ネクロや機械ネメシスといった、これまた自然ウィッチが苦手なデッキが本格参戦。さらに有利だったはずの機械ヴァンプも、顔を詰められない魔獣の女帝・ネレイアを抜いて背徳の狂獣や鋼鉄のヴァンパイア・スレイを採用した、中盤から顔を詰められる構築が流行り出す。対機械ヴァンプも明確に有利が付くとは言えなくなり、環境に嫌われた自然ウィッチはまたも自然と環境から姿を消していった。

主要パーツは何もローテ落ちしていないはずなのだが、絶滅危惧種と言っていいほど見ない。単に半年も変わらず20点OTKしてて飽きられただけでは。トップメタの連携ロイヤルに勝てない上に、ウィッチとしては秘術ウィッチか魔道具専門店ウィッチが注目されていたからだろう。特に今期強化された魔道具専門店ウィッチはラブソングシンガーで機能停止する点を除けば、早さ・蓋性能・盤面処理力が自然ウィッチの上位互換に近いので「自然ウィッチ使うなら専門店でよくね」となるのは必然である。
ロイヤルナーフ後も葬送ネクロ、専門店、異形と不利なデッキが多いため環境に出てこれる雰囲気ではない。専門店が減ってきた現在ではリンクルキャル、ディスカードドラゴン、昆布といった比較的有利な相手もいるのでランクマでも十分戦える環境にはなってきている。アディショナルでの環境の変化に期待したいところ。