自らを
戦車と名乗り、
直進を司るとしている。通常時は暴走については触れていない。
この場合の直進とは乗り手である卿、つまりリーダーから見て真っ直ぐである。バトル画面では、自分のリーダーの直進上には相手のリーダーがいる。簡単に言うならば、所謂フェイス戦術を得意とするということだろう。また、能力やテキストにもその直進性が現れている。能力はランダムな3つの効果から1つが発動するというもので、それぞれ戦車としての性質にも関わっている。
【守護を持つ】戦車とは鎧である。戦場にて様々な脅威を遮り、我が身を盾とする
守護者である。
フェイス戦術に有りがちなリーサルを急ぐあまり逆リーサルを取られることを防いでくれるし、処理ではなく顔を詰めるのに進化を切ることもできる。その他不利トレードを防いだり、高コストのカードや複数枚必要なコンボの為の時間稼ぎとしても使える。総じて多方面で使える効果と言える。
一方でこの効果は発動しただけでは何らアドバンテージを生まない。守護とは防御の構えであり、防御とは受身である。
自分から行動しない事は停滞を招く。進み続ける事を是とするオルオーンの本質からは遠いのだろう。また、2回目以降は完全に無意味である。
準備の為の停車ならばともかく、完全な停止は認めないということだろうか?
【ナイト1体を出す】戦車とは乗り物である。兵や物資を運び、乗り手に従い戦場を駆け回る
奴隷である。
場に出たナイトは除去されるまで打点として残り続ける。また盤面形成にも有用であり、ミッドレンジでも使える効果だろう。
しかし出てくるのは
1/2ですらない1/1であり、弱めのAoeですら耐えられず、オルオーン諸共焼き払われた場合にはアドバンテージを得る事もない。
やはり、直接相手のリーダーに影響を及ぼさないこの効果もまた、オルオーンの本質とは違うのだろう。
【相手のリーダーに2ダメージ】戦車とは武器である。乗り手が命じるままに戦場に暴威を振り撒く
物である。
純粋な破壊こそ武器の本懐。もはや説明するまでもないがフェイス戦術の最大の目標は素早いリーサルである。
オルオーンが持つ最強の能力であるこれは、発動しただけで相手の体力を削る。
相手のリーダーに直接ダメージを与えるこの効果こそオルオーンの本質と言えるだろう。
つまるところ戦車の本質とは
道具であり、
道具の力とは
使い手の力である。
完全に使いこなせば相手のリーダーに多大なダメージを与えられる筈だ。これらの効果はフレーバーテキスト同様、テキストが進むにつれ「」内の文字数と数字が増えていく。
それぞれの効果は順番に停止している状態、動き始めた状態、完全に走り出した状態に対応しており、段階ごとに攻撃的な能力になっていく。
しかし徐々に用途が狭まり、味方と連携が取れなくなっている。戦場を真っ直ぐに走り続け、敵軍の中で孤立するように。それでもデメリットは発生しない。まだ制御できているとでも言うのだろうか?
「卿、ただ行く末を眺めよ」
一転してエンハンスでプレイすると
暴走する。その言葉は乗り手を見限っているように思える。
暴走後は完全に制御不能であり、敵味方の区別すらなく無差別な破壊を撒き散らす。敵陣で孤立した戦士は前後不覚に陥り、助けに来た味方さえ分からなくなったのだろう。
どこに向かうべきか、進む道すら見えない中で暴れ続けるだけである。
この状態では味方のフォロワーにさえ攻撃を行うが、独走し続けた彼の前に仲間がいるはずもない。
皮肉な事に、此処に来て初めて後ろを向くことができたのだ。
しかし、後ろが見えていなかったのは本当にオルオーンだけなのだろうか?
オルオーンとは戦車であり、戦車とは乗り手で動く。ならば
突き進む事も
乗り手の望みだろう。
また、その能力は自分のリーダーさえも引きずっていく。オルオーン自身が乗り手に武器になれと言っているが、オルオーンにとって
乗り手とは、
なくてはならない存在である。
括弧のせいで分かりづらいが、オルオーンの性質は「
卿の直進」であり、他のアルカナゴッド以上に他者に依存している事が分かる。
乗り手がいなければ戦車はただの鉄の塊に過ぎない。「《戦車》は乗り手で動く。故に卿は居るだけで良い。」言い換えれば、卿は居なくては困るのだ。
つまり乗り手を引きずるつもりなどない。そもそも、名前やフレーバーテキストから勘違いしやすいが、オルオーンは
暴走したのではなく
させられたのだ。エンハンスでプレイしなければ忠実に乗り手を助ける。
故に
オルオーンの暴走とは
乗り手の暴走である。単純に7PPと手札1枚を消費して博打を行うのは正気の沙汰ではない。
自ら制御不能な力に縋るのは暴走でしかなく、勝利を焦るか敗北を恐れるか、理由はさておき切羽詰まった状況でもなければ必要ないからだ。
「背の荷は『卿』、刻む轍は我が足跡よ!其の望み『こそ』!我が求めし!手綱と蹄鉄!」道具とは使い手の心を映す鏡でもある。道具の意志は使い手の意志、戦車の望みも乗り手の望み。
乗り手がオルオーンを武器として扱うならば、オルオーンもまた乗り手を武器として扱う。この時点でオルオーンが意思を持つ存在であることを忘れているのではないか?
また、オルオーンが司るのは
直進であって
前進ではない。
前に進むことを是とするのではなく、ただ同じ方向に真っ直ぐ進み続けるだけである。それが「直線の覇道」であるならばいいだろう。
しかし、先が見えない中をひたすら走るだけの「純粋な疾駆」ではいずれ力尽きてしまう。言ってしまえば、最初から己が扱いきれないものに頼ること、成功だけを信じて直進することが暴走の始まりと言える。
だが成功を見ることは何も悪いことではない。理屈の上では、通常時と暴走後のバーンダメージを2回ずつ相手のリーダーに当てるだけで勝利できる。
EPすら消費する必要はなく、3枚のオルオーンを投げるだけで終わる。
暴走後に進化を切れば、たった1枚のカードだけでバトルに勝てる。あるいは、オルオーンは自身を完全に使いこなせる乗り手を求めているのかもしれない。
また、オルオーンの意志は乗り手の意志。
ならば、オルオーンを生涯の友として扱えば、オルオーンも乗り手を無二の友と呼ぶのでなかろうか?。
だから皆もオルオーン使え