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概要

メインストーリー「自然鎮魂編」のイリス編にて登場したキャラクター。本名は「ジラード・L・ヴェンディッシュ」。

彼は滅びる前のナテラでエンジニアとして働いており、彼の母から送られた立体ホロ記録機にいくつか記録映像を残していた。そこにはナテラの歴史の関わる重要な記録が残されており、この記録を見ることでイリスは過去のナテラの真実を知ることとなった。

ジラード・L・ヴェンディッシュが遺したホログラム・メモリー

記録はいずれもPHR287年
記録日内容
おうの月、21日
ナンバー01
あ、映ってるな……えーっと……ゴホン。
……もう喋っていいのか?
はあ……ったく、母さんめ。金が無い無いって
いつも言ってるくせに、立体ホロ記録機なんて買って
送りつけてくるなんて……面倒なことするよなぁ。
喋るだけでいいんだから、これで近況報告送れって……
報告するほどのことなんて、全然ないんだけどな。
はあ、面倒くさい……。
そもそも、俺みたいな魔導機エンジニアの生活なんて、
会社行って帰ってEキューブ飲んで寝るの繰り返しだし……
貧乏だから娯楽もないしなぁ。
まあ、俺は下っ端の下っ端だけど一応
《セントラル》の一員だから……
とりあえず食いっぱぐれる事だけは無さそうだけどさ。
……Eキューブ、あちこちで不足してるらしいよな。
まあこのマナ不足の世の中じゃ、仕方ないかもだけど……
あ、母さん、まさかそれ心配してこんなの送って来たのか?
じゃ、その心配はないってことで。……とりあえず、
こんな感じでいいか。……あ、音声命令が必要なんだっけ。
えーっと……『記録終了』。
青の月、4日
ナンバー02
えーっと……一応話題ってのができたから、記録するよ。
今日、急に出向命令が来て、
明日から《セントラル》で働くことになったんだ。
……俺みたいなフツーのエンジニアを引っ張るなんて、
向こうは余程人手不足らしい。新しいプロジェクトでも
起こす気なのかな……まあとにかく、給料は上がる。
しかも《セントラル》勤務なら、座標指定器が
配布されるから、第1街区の会社までひとっ飛びだ。
魔導リニアの朝ラッシュにも悩まされなくなる。
なにより、めちゃくちゃギリギリまで寝坊できるのがいい。
……ってことで、珍しくいいニュースだよ。
以上、『記録終了』。
青の月、11日
ナンバー03
やばいやばい、やばいって!いや、驚いた……!
すごいよ《セントラル》は!社内の魔導機器は全部最新型、
個人端末でさえ魔導ニューロ搭載だ!さすが最高峰……!
しかも社内食堂で販売されているのは、
Eキューブじゃなくって新鮮食材の飯なんだ!
なんでも社内に菜園があって、そこで収穫できるんだって。
まるで1桁市民、いやそれ以上の待遇だよ……!
マナ不足でどこかしこも困ってるってのに、
こんな生活ができるなんて!最高だ!
あ、それと……はは、これは関係ないかもだけど……
えーっと、その、同僚にすごい可愛い子がいるんだ。
ユーリカっていう名前の……。
……あ、こんなこと言うとまた母さんが孫がどうとかって
うるさくなるか……えーっと、今のナシで。
後でデータ消去しとこう……とりあえず、『記録終了』。
紫の月、20日
ナンバー04
寒くなってきたな……母さん、暖房代ケチったりしないで
ちゃんとあったかくして寝てくれよな。
……って、母さんがこれをいつ見るのかはわからないけど。
とにかく、これからは仕送りの額も少し増やせそうだから。
……そうそう、えーっと、部署異動が決まったんだ。
来月……白の月にね。
異動先は《セントラル》に新しくできた、
マザー・システム管理対策部門ってとこらしい。
あ、マザー・システムってのは……ほら、あれだよ、
セントラルタワーに設置されてるっていう、
マナを生成する装置。母さんも聞いたことはあるだろ?
えーっと、なんか随分重要なポストになったらしいけど……
まあ、それなりに頑張るよ。うん。
……新しい暖房機とか、買えよな。金は送るから。
あ……そうだ!送ってきたあのジャケット、あれなんだよ?
しかも『ユーリカさんによろしく』って。
あれ着てデートでも行けってか?あんなダサいのを!?
とにかくっ、ああいうお節介は要らないから!
その……最近一緒に昼食が食えてるし、それだけで
十分幸せなんだよ。……終わり終わり!『記録終了』!
紫の月、28日
ナンバー05
今日、初めてセントラルタワーに入って、
マザー・システムってものをこの目で見たよ。
あんな……なんていうか、女の人みたいな姿してるんだな。
まるで、俺らと同じで生きてるみたいだった。
……って言ったら、同僚たちにメチャ笑われたけどさ。
はぁ。
まあ、あれはマナを生み出すだけの装置だって
先輩たちも言ってたから……確かに、ヘンな事言ったよ。
えーっと、それで……そうそう、俺たち管理対策部門の
仕事が何かって話を、上司に長々とされたよ。
要は、新規エネルギー供給機構の構築だってさ。
マザー・システムに介入して、マナの生産効率を
引き上げるんだと。まあ、慢性的なマナ不足を改善しなきゃ
自然災害の頻発も食糧難も、解決しないもんな。
……マザー・システムを昔みたいに、
母なる君って呼ばれてた頃みたいに戻すんだってさ。
少し聞いたけど、けっこう無理矢理な計画で……。
えーっと、まぁそういうわけだから、
母さんたちの生活も、いずれは楽になるかもな。
って、うわ!?……え、ユーリカからコール!?
うわわ、マジか……えっと、そういうわけだから!
じゃ、『記録終了』!
白の月、10日
ナンバー06
やあ、母さん。新規エネルギー供給機構の開発は……
順調だよ、ものすごく。うん……。プロジェクトの、
相談役?みたいな人が、すごく優秀らしくてさ。
まあ、俺は末端だから、会った事は無いんだけど。
とにかく、そのヤバい人のおかげで、順調。
多分……来月には、運用に入れると思う。ただ……。
……母さん、俺、やっぱりヘンなのかな。
なんかさ……不安なんだ。マザー・システムに介入なんて、
マジでやっていいのかって……なんか思っちゃうんだよ。
あれって……マジでみんなが言ってるみたいに、
ただマナを生み出すだけの魔導装置なのかなって……
アイツの眼とか見てるとさ……思っちゃうんだ。
でも……俺、頑張るべきなんだよな。
完成まではもうすぐだ。終わればきっと報酬もデカい。
末端エンジニアじゃ考えられない収入が得られる。
……ユーリカはさ、星を見るのが夢なんだって。
投影機越しじゃない、肉眼で見たいらしいんだ。
星見ツアーなんて、1桁市民でも支払いが難しい額がなきゃ
行けないけどさ……この仕事が上手くいけば、多分行ける。
だからさ、えーっと……俺、頑張らなきゃだよな。
……今日はここまでにしとく。
えーっと……体に気を付けて。……『記録終了』。
白の月、17日
ナンバー07
母さん、まずいことになった!
ああ、えーっと、こんなんじゃ伝わらないよな。
えーっと、とにかく、順を追って話すから……!
いいか、俺たちは新規エネルギー供給機構の構築を終えた。
けどそれをマザー・システムに介入させた瞬間、
問題が起きたんだ……!
始めの一瞬は良かったんだ。マナの供給効率は
爆発的に向上した!けどその直後……
マザー・システムが休眠状態に入ったんだ……!
まるで……枯れ果ててしまったみたいに力を失って、
眠ってしまったんだよ……!
そもそも、マザー・システムは……あれは、マナを生み出す
だけの装置なんかじゃない!そうじゃなかったんだ!
俺たちはずっと、《セントラル》に騙されてたんだよ……!
俺たちは……母なる君という名のマナを生み出す生命体を、
セントラルタワーの地下に無理矢理拘束して、
マナを搾り取っていたんだ!何年も前からずっと!
そして、今回の事で俺たちは、
母なる君から力を根こそぎ奪い去ってしまった……!
彼女は力を失ったんだ!
この計画を立案した奴は、どこかに消えちまった……!
だから誰も、この状況を止められない……!
全てのマナは消え去った……!
アイツ……あの相談役、どこに行ったんだ……!
『管理者』の使いだって名乗って、
偉そうにしてたのに……!
母さん……!俺たちは全てのエネルギーを失った!
今はまだ予備のマナがあるが、いつ切れるか分からない!
魔導リニアも、空調制御装置だって、全部止まる!
そのうち、予備のマナを求めて中央タワーに
暴徒が押し寄せる……!それだけじゃない、
世界中で暴動が起きる……!
母さん……!
お願いだ、逃げてくれ……!
もう、世界は……!
白の月、18日
ナンバー08
ああ、くそ……くそ、なんでだよ。
そうだ、やるべきじゃなかったんだ……
俺は……俺たちは、手を出しちゃいけなかった……!
ちくしょう……母さん、ユーリカ……ちくしょう……!
こんなことになるなんて……もうメチャクチャだ!
この世界は……ナトゥーリアは、もうおしまいだ……!
だめだったんだ……やっぱりマザー・システムに
手を触れちゃいけなかったんだ……!
ちくしょう、俺たちは間違えた……間違えたんだよ……!
ちくしょう……俺、俺は、ただ……!
ただユーリカに、星を見せてやりたくて……
ただ母さんに、楽させてやりたくて……ちくしょう……!
ごめん……ごめん母さん……こんなもの、届かないよな。
けどっ……けどさ、頼むよ……!もし、もしもデータ送信が
できたんなら……頼む……!
逃げてくれ……!
――――。

森の深淵《アジール》

ナテラの森にある遺跡。結界が張っており、ヤバめの精霊が守っているらしい。
住民は皆「ここには入るな」と言い聞かされて育ったようだ。
ラティカも小さいころから祖母に言われ続け、今でも入る気にはならない様子。また、入ろうとしたこともあったようだがどうしてもできなかった過去もある。それ故に歴史を紐解こうとしているイリスの事を心配し応援していた。
結界内に入るには光る欠片が3つ必要だったが、イリスはムニャール、ローウェン、ラティカの3人から譲って(ムニャールからは奪ったようなものだが)もらっていたのでここに入ることができた。
自動音声では「《セントラル》、機密領域・アジール」と言っていたのでナトゥーリアが存在していた時からあった模様。
ここには膨大な量の保存データがありその数なんと1002001900(10億200万1900)件。上記のナンバー07のデータもこの中の1つ。
イリスがここに入ったとき、機密データの自動再生が行われた。
――かつてこのナテラの地には、
民と、精霊と、獣たちだけが在りました。
大いなる爪と牙を持つ獣を前に、民たちの力は弱く……
猛威を振るう自然と精霊を前に、民たちの存在は小さく……
ナテラの民は辛く苦しい時代を過ごしていました。
そして、とある干ばつの年――痩せ細り、
乾いた皮膚をひび割れさせ、息絶えようとする仲間を抱き、
一人の少女は願いました。
どうか力をと。
どうか、友人を、家族を、仲間を、民を救う力をと。
その時彼女の前に、流浪の魔術師が現れ――
少女に、民と精霊とをつなぐ力を、
その絆――マナを生み出す力を、与えました。
民たちはマナにより精霊との絆を結び、
多くの恵みと、力を得ました。
ナテラの民たちは、生き抜く術を手に入れたのです。
しかし、尋常ならざる力を手にした少女は、
もはや肉体という器に収まることが出来ず――
その身を霊体と化し、超常の存在と成り果てました。
深い尊敬と感謝を込め、ナテラの民たちは、
かつて少女だったものを母と崇め、称えました。
日々祈りを捧げ、少女の魂を祀るための神木を植えました。
やがて、少女だったものは、母なる君と
呼ばれるようになり――
ナテラの地を永遠に見守る存在となったのです――。

余談

イリス編では以上の8つの他にいくつかホログラム・メモリーの再生が行われている。
記録日内容
PHR283年、赤の月、25日『Eキューブが足りない。生産ラインはずっと停止してる。
第179街区の連中はみな空腹だ。昨日も子供が死んだ。
区長、最後の警告だぞ。市民分類シャッターを開けろ!』

『偉大なる第12街区の尊き子らよ、御機嫌よう!
選ばれし《2桁市民》の君達には、これから最高水準の
教育を受けてもらうぞ。今回は記念すべき第1回だ!』
『まずは、現在のナトゥーリアの生活を支えている
エネルギー供給機関、マザー・システムに関してだが――』
PHR284年、橙の月、14日
記録者:エミピー・M・ティグリッド
『――あ、もう撮れてる系?ウェーイ、初リヴー!
てかヤバくね?あーし今第8街区にいんの。マジ草じゃね?
ちな、あーしの市民教育段階、3とかだから!ヤバ!』
『けど2桁市民の彼ピーがー、セントラルタワー旅行に
連れて来てくれましたー!ウェーイ!あ、つっても
中は見れんけど。でも超デカい!ヤッバい!』
『てか第8街区の市民食堂、パないんだけど。
草生えるってか草食えんの。さりげ生えたし、
マナ不足どこ?みたいな。マザー・システムヤバいわ!』
『あーし、もとは第107街区なのね。3桁市民的なヤツ?
ちな、ウワサの竜巻地区ね。282年のさ、知ってる?
アレ、ガチで見てっし。けどここは超静かで……』
『え、マ?時間ヤバげ?りょりょー。えーっと、とりま
こんな感じで、初リヴ終わりまーす。あ、コメントとか
トークに流してくれたら見るかんねー。じゃ!』

このページへのコメント

2桁市民,そういえば機械娘達は一桁ですね…。まあ、シナリオライターもそこまで仕込んでないと思うけどね。

1
Posted by 名無し(ID:ptxGl5Z65g) 2021年08月24日(火) 02:01:59 返信

音声記録があるとSCPみたいでわくわくする

10
Posted by 名無し(ID:r9C3dNB1Dg) 2020年06月01日(月) 00:39:53 返信

機密情報を親族に垂れ流しまくる屑

66
Posted by 名無し(ID:fu/A+nviAA) 2020年03月02日(月) 11:13:35 返信

そういえばベル君の居城って中央タワーだったよね。
ナトゥーリアではマナが枯渇してるけどアイアロンでは魔石(魔力?)が枯渇してる。
ナトゥーリアはベル君のいないアイアロン、アイアロンは母なる君のいないナトゥーリアって感じなんかね?

11
Posted by 名無し(ID:oLpZgyb/+Q) 2020年03月02日(月) 00:07:24 返信

やっぱストーリー大好きなホモも多いんすねぇ!

22
Posted by 名無し(ID:JDRgCtnm9w) 2020年02月28日(金) 23:35:18 返信

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